遠見尾根
2017/03/04
遠見尾根
 
2017/03/04(土):晴れ:白馬五竜スキー場~小遠見山(幕営)
2017/03/05(日):晴れのち曇り:小遠見山~白馬五竜スキー場
*
● 2017/03/04 ●

五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳をはじめ白馬連峰や信越の山々など素晴らしい展望を望むことができる遠見尾根。厳冬期にどうしてももう一度眺めてみたい。そう思いながらもなかなかタイミングが合わず、5年の月日が経ってしまいました。 新雪が積もった後の好天が予想されるこの週末の2日間でしたが、風が強い予報が出ていたため迷いに迷い、とりあえず準備して行けるところまで行って考えようと前日の夜に決断し、久しぶりのテン泊装備をザックに詰め込みました。

白馬村までの道中では路面に積雪はまったく残っていなかったため、自宅から3時間ほどで白馬五竜スキー場に到着。ただ1年で最も積雪の多いこの季節、スキー場のゲレンデでは3mを超えているとのこと。 エスカルプラザで夜間駐車許可証をお借りして専用駐車場に車を止めさせていただき、朝の9時前にテレキャビンへ向かいます。スキー場は多くの人たちで賑わっていました。 気持ちの良い青空が広がっていますが、テレキャビンを降りると強風のためゲレンデ上部のリフトの運行が幾度も止まっていました。 お昼過ぎにいったん風が弱まる予報に期待しながら気合を入れて賑やかなゲレンデを後にします。

地蔵の頭を巻くと、すでに遠見尾根に向かってトレースが付いていました。有り難い思いで辿らせていただきます。 風がなければ陽射しが強く暑いほどですが、冷たい強風が吹いた時との気温差が激しい。樹林帯を抜け一ノ背髪へ向かって登っていると、つむじ風が雪煙をあげるほどで時折からだごと吹き飛ばされそうになりますが、 言葉にならない素晴らしい展望が登るごとに広がること、そして陽気なバックカントリーの方々に元気づけられ安心できました。風が強いため見事なシュカブラができ、青空に映えています。厳しさと美しさを合わせもつ自然の造形美に心惹かれます。

二ノ背髪に向かう中でいくつかの急な登りがあります。降り積もったばかりの新雪に、トレースはまだこの時間ではほぼバックカントリーの方々のスキーのみなのでワカンではなかなか登れず苦労したところがありました。 なんとか二ノ背髪に着き五竜岳の武田菱が目前に迫って来るのを見ると、とうとう来たという気持ちになります。ただ標高が高くなるごとにさらに風が強まり、立ち止まって耐風姿勢を取りますが、しばらく耐えていると決まって風が止むので助かりました。 ここであらためて今晩から明日にかけての予報を見ると、風の具合は相変わらず似たような感じですが、天候が崩れる心配はなさそうなので先へ進むことにします。

雪面がかたく締まるようになってきたところで、ちょうどお昼の12時に標高2,007mの小遠見山に到着。テレキャビンを降りた地点との標高差は500mです。頂きでは五竜と鹿島槍が真っ白に輝いています。 のんびりしたい気持ちですが、風も強いのでテント設営を優先させます。以前訪れた時に確認しておいた適地にて風除けのための掘り作業から。柔らかい雪質だったため想定していたよりも時間を掛けずに深く掘ることができました。

しばらくテントでのんびり休んだ後、再び小遠見山の頂きへ。稜線には雲が広がっていましたが、その中を太陽が沈んでいきます。 山頂標識付近が1mほど掘られていたため、有り難く風除け場として使わせていただきながら撮影します。まだ相変わらず時折強い風が吹きますが、しばらく待っていれば止むというサイクルは変わりません。 陽が沈む時間は、厳しく美しい山々と、刻々と変わる光を楽しみテントに戻りました。この夜は他に、中遠見山と西遠見山でテン泊されていた方々がいたようです。

● 2017/03/05 ●

夜は何度か激しい風がテントを叩きましたが、それ以外は無風状態で快適に過ごすことができました。快適過ぎて目覚ましを合わせておいたはずなのに気付かずぐっすりと爆睡。気付けば日の出30分前でした。 大急ぎで準備して、かなり冷え込んでいたので念のためアイゼンを付けて頂きへ。太陽には間に合いましたが、残念ながら稜線はまた雲の中。それでも雲があることで再び美しい光を見ることができました。 太陽が昇り1時間ほど経つと、ようやく稜線が少しずつあらわれ特に爺ヶ岳には素晴らしく美しい光と影を見ることができました。

ただ朝の気温は麓の白馬村でも-7℃なので、標高差1,300mあることを考えると小遠見山の気温は-15℃ほど、そして相変わらず時折吹く強い風により体感温度は当然さらに低いため、1時間も山頂で過ごしているとからだの限界が来て撤収。 起きてから時間がなかったのでカイロを付けて来られなかったことに後悔しながらテントに戻ります。 シュラフに再び潜り込み、ようやく体温があたたまった頃にテントから顔を出すと、すっかり雲が流れ去り五竜と鹿島槍の姿が完全にあらわれていました。 風もほぼおさまり快適になったので、中遠見山へ向かって行けるところまで登ってみます。

記憶に残っている印象的な美しい樹形のダケカンバが立つ急登は、雪がかたく締まりワカンで登るのは厳しく途中でワカンを外してみましたが、下山時に危険を感じたのでテントまでアイゼンを付けに戻ることにします。 再び急登に戻るとアイゼンでは快適に登ることができ、一段登り近付いたことでさらに迫力ある鹿島槍ヶ岳が目前に聳え立ちます。カクネ里雪渓も真正面に見ることができます。ただその先はスリルあるナイフリッジなのでここでUターン。 小遠見山から天狗岳に続く稜線を眺めながらテントに戻りました。

テントを撤収後、最後に小遠見山に立つと、稜線の上空に薄雲が広がってました。薄雲が広がってもまた青空とは異なる素晴らしい眺め。 二ノ背髪から一ノ背髪の辺りは前日とは異なりしっかりとしたトレースが付き、そしてアイゼンでは安心して下ることができました。 2日間とも良いお天気に恵まれ、風には少し注意でしたがそのおかげで雲の流れや光の変化を見ることができ、常にほぼ360度の大展望を楽しむことができたことに感謝しながら下山しました。

● 写真(35) ●
  • 朝10時の遠見尾根にはすでにトレースが付いていました。有り難い思いで辿らせていただきます。
  • 朝10時の遠見尾根にはすでにトレースが付いていました。有り難い思いで辿らせていただきます。
  • 風が強いため見事なシュカブラができ、青空に映えています。
  • 風が強いため見事なシュカブラができ、青空に映えています。
  • 厳しさと美しさを合わせもつ自然の造形美に心惹かれます。
  • 厳しさと美しさを合わせもつ自然の造形美に心惹かれます。
  • 二ノ背髪に着き五竜岳の武田菱が目前に迫って来るのを見ると、とうとう来たという気持ちに。
  • 二ノ背髪に着き五竜岳の武田菱が目前に迫って来るのを見ると、とうとう来たという気持ちに。
  • 写真は穏やかに見えますが、標高が高くなるごとにさらに風が強まります。そして雪面がかたく締まっています。
  • 写真は穏やかに見えますが、標高が高くなるごとにさらに風が強まります。そして雪面がかたく締まっています。
  • 登るごとに鹿島槍の姿もあらわれてきました。手前は中遠見山。
  • 登るごとに鹿島槍の姿もあらわれてきました。手前は中遠見山。
  • 遠見尾根には美しい樹形のダケカンバがあちこちに点在しているため、五竜岳の程良い前景となります。
  • 遠見尾根には美しい樹形のダケカンバがあちこちに点在しているため、五竜岳の程良い前景となります。
  • ちょうどお昼の12時に標高2,007mの小遠見山に到着。最高の眺めです。
  • ちょうどお昼の12時に標高2,007mの小遠見山に到着。最高の眺めです。
  • 以前訪れた時に確認しておいたテント適地から、鹿島槍と爺ヶ岳。
  • 以前訪れた時に確認しておいたテント適地から、鹿島槍と爺ヶ岳。
  • シュカブラとダケカンバを入れてもう1枚。
  • シュカブラとダケカンバを入れてもう1枚。
  • しばらくテントでのんびり休んだ後、再び小遠見山の頂きへ。稜線には雲が広がっていましたが、その中を太陽が沈んでいきます。
  • しばらくテントでのんびり休んだ後、再び小遠見山の頂きへ。稜線には雲が広がっていましたが、その中を太陽が沈んでいきます。
  • まだ相変わらず時折強い風が吹きます。雪煙を入れて、風の激しさを表現してみます。
  • まだ相変わらず時折強い風が吹きます。雪煙を入れて、風の激しさを表現してみます。
  • 振り返ると対照的に爽やかな青空。
  • 振り返ると対照的に爽やかな青空。
  • 最後に撮った五竜岳。雲があることで冬山の厳しさがより際立ちます。
  • 最後に撮った五竜岳。雲があることで冬山の厳しさがより際立ちます。
  • テントを張った場所は柔らかい雪質だったため助かりました。想定していたよりも時間を掛けずに深く掘ることができました。
  • テントを張った場所は柔らかい雪質だったため助かりました。想定していたよりも時間を掛けずに深く掘ることができました。
  • 目覚ましを合わせておいたはずなのに気付かずぐっすりと爆睡。気付けば日の出30分前。大急ぎで頂きへ。
  • 目覚ましを合わせておいたはずなのに気付かずぐっすりと爆睡。気付けば日の出30分前。大急ぎで頂きへ。
  • ご来光は、雲があること、そして雲海も出ていたため素晴らしい色の光を見ることができました。
  • ご来光は、雲があること、そして雲海も出ていたため素晴らしい色の光を見ることができました。
  • 戸隠連峰。そしてスキー場に続く尾根。
  • 戸隠連峰。そしてスキー場に続く尾根。
  • 残念ながら稜線は雲の中でしたが、雪壁にできた一筋の光が綺麗でした。
  • 残念ながら稜線は雲の中でしたが、雪壁にできた一筋の光が綺麗でした。
  • 太陽が昇り1時間ほど経つと、ようやく稜線が少しずつあらわれ爺ヶ岳の雪襞が輝きました。
  • 太陽が昇り1時間ほど経つと、ようやく稜線が少しずつあらわれ爺ヶ岳の雪襞が輝きました。
  • 爺ヶ岳の奥には小さく槍ヶ岳も。
  • 爺ヶ岳の奥には小さく槍ヶ岳も。
  • 気温は-15℃ほど、そして相変わらず時折吹く強い風により体感温度は当然さらに低いため、1時間も山頂で過ごしているとからだの限界が来て撤収します。
  • 気温は-15℃ほど、そして相変わらず時折吹く強い風により体感温度は当然さらに低いため、1時間も山頂で過ごしているとからだの限界が来て撤収します。
  • シュラフに再び潜り込み、ようやく体温があたたまった頃にテントから顔を出すと、すっかり雲が流れ去り五竜と鹿島槍の姿が完全にあらわれていました。
  • シュラフに再び潜り込み、ようやく体温があたたまった頃にテントから顔を出すと、すっかり雲が流れ去り五竜と鹿島槍の姿が完全にあらわれていました。
  • 風もほぼおさまり快適になったので、中遠見山へ向かって行けるところまで登ってみます。
  • 風もほぼおさまり快適になったので、中遠見山へ向かって行けるところまで登ってみます。
  • シュカブラと、小遠見山から天狗岳にかけての稜線。
  • シュカブラと、小遠見山から天狗岳にかけての稜線。
  • 小遠見山の奥には左から雨飾山、妙高と火打、高妻山。
  • 小遠見山の奥には左から雨飾山、妙高と火打、高妻山。
  • 一段登り稜線がさらに近付きました。この先はスリルあるナイフリッジなのでここでUターン。
  • 一段登り稜線がさらに近付きました。この先はスリルあるナイフリッジなのでここでUターン。
  • 迫力ある鹿島槍ヶ岳が目前に聳え立ちます。カクネ里雪渓も真正面に見ることができます。
  • 迫力ある鹿島槍ヶ岳が目前に聳え立ちます。カクネ里雪渓も真正面に見ることができます。
  • 中遠見山付近からの、爺ヶ岳と鹿島槍の連なる尾根が印象的です。
  • 中遠見山付近からの、爺ヶ岳と鹿島槍の連なる尾根が印象的です。
  • 小遠見山を眺めながら下山します。
  • 小遠見山を眺めながら下山します。
  • テントを撤収後、最後に小遠見山に立つと、稜線の上空に薄雲が広がってました。
  • テントを撤収後、最後に小遠見山に立つと、稜線の上空に薄雲が広がってました。
  • 雪面と、青空だけのシンプルな世界。
  • 雪面と、青空だけのシンプルな世界。
  • 薄雲が広がってもまた青空とは異なる素晴らしい眺め。
  • 薄雲が広がってもまた青空とは異なる素晴らしい眺め。
  • 仲良く立つ美しいダケカンバたち。
  • 仲良く立つ美しいダケカンバたち。
  • 五竜岳にお別れです。2日間とも良いお天気に恵まれ、常にほぼ360度の大展望を楽しむことができたことに感謝しながら下山しました。
  • 五竜岳にお別れです。2日間とも良いお天気に恵まれ、常にほぼ360度の大展望を楽しむことができたことに感謝しながら下山しました。