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蝶ヶ岳
2011/05/02  

いつかは冬の蝶ヶ岳へ。自分の技術も顧みず無謀にもそんな目標を持っていましたがまずはこのGWに念願が叶うことになりました。もともと好天で始まると言われていたGWでしたが稜線で目まぐるしく天気が変わり、春山というよりも冬山の激しさ、厳しさを体感できた貴重な山旅になりました。

以前からこの連休は涸沢に入り穂高方面へ行く予定を立てていましたが、今年の春は天候が不安定でGW直前になっても雪が降り続き、入山直前に涸沢で大規模な雪崩が発生したことで横尾から先の涸沢と槍沢へは入山規制となってしまいました。連休中に規制は解除になると思いましたが、今年の連休は前半にしか予定を立てられないこともあって急遽、蝶ヶ岳へと予定変更。予報によると、入山1日目の28日はまだ少し雲が残りそうでしたが、その後は回復に向かいそうです。

登山口まで車で入ることのできる三股ルートから登ろうと思いましたが、念のため前日に蝶ヶ岳ヒュッテに状況を確認してみると、三股からのルートよりも横尾からのルートのほうが雪崩の危険性がなくマーキングがしっかりしているとのこと。徳沢からの長塀尾根は以前夏に登った時にとても長く辛い印象があったので、そしてやはり道に迷う危険性があるとのこと、そこで横尾から入ることに決定。ただし小屋をオープンしてからまだ誰も上がって来ていないそうです。当日に横尾から登る人がいてくれることを祈ります。横尾からは徳沢からと比べてコースタイムは短いですが、その代わり急登の連続です。重い荷物で登ることができるかどうか心配ですが、登り終えた先の稜線からの眺めが楽しみです。

早朝6時過ぎ、上高地に到着。
まだ連休が始まっていないので、上高地は閑散としていました。数人の登山者と観光客の人たちだけ。登山届を出そうとしたら、指導員の方から予定を聞かれました。涸沢、槍沢方面は入山規制がかかっていることを周知させるためのようです。
歩き始めるとちょうど穂高に朝の光が射し込み、真っ白に輝いていました。

歩き始めるとところどころに残雪が出現しました。もう4月末だというのにまだ気温も低く、陽の当らないところはつるつるに凍っています。特に明神あたりまでは観光客の人たちも入るのでたくさんの人たちに雪が踏み固められ、まるでスケートリンクのようになっているところもありました。滑って転びそうで怖い・・。バランスを崩さないように進みます。明神に着くと、青空の中の明神岳が迫力ありとても綺麗でした。

残雪歩きで足もとは神経を使い大変なところもありましたが、道の脇にもかなりの量の残雪が残ってくれていたお陰で、ザックをおろして休憩できるベンチがいたるところにあったことはとても助かりました。
そしてお天気もいいので足取りも軽やかです。徳沢手前の梓川沿いで視界が開けたところで、真っ白の大天井岳が望めました。そして遠くに徳沢の主のケショウヤナギも佇んでいるのが見えます。

ところが徳沢を出て横尾に向かう途中で・・・あれほど青かった空が一変しました。上空にはあっという間にどんよりとした雲が広がり、途中で雨が降り始め、雨具を出し慌ててカメラをザックの中へ。10時半過ぎに横尾に着いた時は雨に雪が混じるようになり、気温が一気に低くなり、そして冷たい風が吹き始めました(泣。
天気予報では安曇野側の蝶ヶ岳は晴れだったけれど穂高方面は曇りだったのでこれも予報通りだと思うことに。蝶ヶ岳方面を見上げると、何となく空が明るいような感じもするので、稜線に向かえば回復して来るかもしれません。

涸沢、槍沢方面は入山禁止となっていたとおり、横尾大橋には「雪崩のため入山できません」という案内板がかかっていました。
そういえば徳沢で出会った男性に「どちらへ行かれますか?」と聞いたところ、「涸沢へ行きます」と答えた方。結局ここまで来て蝶ヶ岳へ向かったのでしょうか?
激しく霙が降る中でこのまま横尾でテントを張るか稜線へ向かうか悩みましたが、時間はまだ11時。頑張って稜線へ向かうことにしました。横尾からアイゼンを装着。そしてカメラは再びザックの中へ。気合いを入れて先へ進みます。

横尾からしばらく歩くと槍沢方面と蝶ヶ岳方面の分岐があり、そしていきなりの急登です。
ただ気温が低いため雪質は固く締まっていて歩きやすくアイゼンが良く利きます。
歩き始めるとすぐに数人のトレースが見つかりホッとしました。そしてやっぱり蝶ヶ岳方面は空が明るいみたい。そんな空を見上げたことと、横尾までの単調な道と比べるとようやく登山らしくなったこともあって気持ちも明るく楽しくなってきました。

最初は沢沿いを歩きますがしばらくで尾根上へ。
尾根に出るとずいぶんと急な登りになってきました。
トレースを辿りながらマーキングを探し、見つかったマーキングまで登ったら次のマーキングを探して登りましたが、ある時どうしても次のマーキングが見当たらないようになりました。でもトレースはしっかりと付いているので辿っていきます。ただトレースといっても2、3人の足あとだけということと、荷物が重いので時折踏み込んだ足が膝まで沈むようになってきました。その度ごとに体力と気力が奪われます・・。しかもあまりの急な道なので、だんだん荷物を置いて休憩できるポイントが少なくなってきました。少しでも傾斜が緩いところが見つかったときはザックを担いだまま斜面に寄りかかって休憩しましたが、立ち上がる時に谷側にバランスを崩しそうになるし大変。樹の幹に助けられながら、そしてゆっくりとバランスを取りながら、少しずつ上へ上へと向かいました。

時間が経つにつれて明るかった空もまたどんよりと曇って来て、そしてまた、雪が激しく降るようになってきました。はっきりしていたトレースも急登と雪で消えかけて不安になって来たころ、単独の男性が下から登ってきました。足もとを見るとワカンを履いています。今回はワカンも持ってきていましたが、ワカンでこれほどの急登を登ることができると分かりビックリ。そしてGPSを持った方だったので安心して着いて行くことができました。(ありがとうございました)

登っても登っても樹林帯が続きます。何とかザックからカメラを出して撮ることのできた1枚です。ただ写真に撮るとのんびり緩やかな登りに見え、急登を表現できないことがとても悲しいです。
そしてあまりの急登に手を使わなければならないところも出てきました。まさかこれほどの急な道だとは思いもしませんでした。マーキングも見当たらないままなのでもしかすると壁を迂回している夏道を逸れてその壁を直登しているのかもしれません・・。

相変わらずまともに荷物を置いて休憩できるところがない状態のまま、そしてピッケルではなくストックで登っていたことに後悔した頃、先ほどのワカンの男性が下りて来ました。「行けるところまで行こうと思ったのですが、稜線まではまだはるか遠いのでこのまま横尾まで引き返します」とのこと。
時間を見ると2時過ぎでした。稜線まであと600mほど登らなければならないことを思うと今日中に小屋へ辿り着ける可能性がかなり低くなってきました。そしてこの急登で体力も気力もかなり奪われてきたので、テントを張るスペースが見つかり次第ビバークすることにしました。
もうしばらく頑張って登ると行く先に丘のようなものが見え、ちょうどビバークできそうなポイントを発見。そして長い間見失っていたマーキングも発見しました!

時間はまだ午後3時でしたがビバークを決断しました。地図を見ると2,255mピーク付近のようです。携帯トイレもたくさん持って来たので安心です。
整地してテントを張り水作りをしたらもう体力も限界。夜の7時には爆睡してしまいました。夕方には天気が回復に向かってきたようで、樹間から穂高が望めました。そして陽が沈んでからも無風だったのが気持ち的に助かりました。

朝起きると、まるで笛の音のようなこれまで聞いたことのない美しい鳥のさえずりが聞こえて幸せな気持ちに。そして空には青空が広がってきているみたい!太陽も顔を出しました!心なしか昨日登り続けていた時と比べると空が近く感じます。
マーキングもしっかり分かることも安心。相変わらず朝から激しい急登が続くけれど(写真に撮ると相変わらずとっても緩い登りに見えるのが悲しいですが・・)数時間頑張れば稜線に出られるので、朝の天気のいい間に先へ進みます。早く稜線からの眺めを見てみたいです。8時に出発。

ほんの4、5分登ったところで、突然視界が開けました!
槍・穂高連峰が目の前に聳え立っていました。まさかこんな近くにこれほど素晴らしい景色があったなんて。ここが2,255mピークなのかも。ここでビバークすれば良かったと思いました。ただ風が強い日は風の通り道になるかもしれません。

そしてまた、ただひたすら展望のきかない樹林帯の急登歩き。
急登が続くことは最初から分かっているので、カメラを下げて歩くと邪魔なのでザックにしまいました。
歩いても歩いてもなかなか稜線に出ません・・。
いつまでこの登りが続くのか、もうグッタリとした頃に5人の団体さんが下りて来ました。皆さん足もとを見るとスノーシューを履いています。こんな急な道の下りでもスノーシューを使えることにビックリ。お話を伺ってみると、昨日蝶ヶ岳まで登って来た人は、徳沢の長塀尾根からはこの5人の皆さんだけ。その他は横尾からの単独の男性が2名のみだったそうです。そのうちの1名はテン泊だったそうですが稜線はあまりの風の強さに「死にそうだった・・」と言っていたそうです。稜線でテントを張ることができるでしょうか?

そしてまたしばらく登ると今度は単独の男性が下りてきました。
「稜線までは?」と聞いてみると「どうかな~早い人で2時間くらいかな」のお答えが(泣。
でも時間を見るとまだ10時です。お昼過ぎには稜線に着き、そして着いた時もお天気が良いままでいることを祈って頑張ります。

お昼の12時、あれほど続いた急な登りが随分と緩やかになり、シラビソやコメツガの樹々の間隔が広くなり始め、ダケカンバが目立つようになり、そしてようやく待ち望んだ稜線が見えました!
稜線まであともう少しです!
ここでザックからカメラを出します。
でもここでまた雪が降り出してきたので、カメラに防水対策をして歩きます。

分岐の案内板が見えてきました。本当にもうしばらくで稜線に着くけれど、どうやら天候がまた悪化してきたようです。予報では今日は晴れてあたたかくなるはずだったのに、変わったのかな?樹林帯を抜けたことで視界が広がったのはいいのですが、今度は風が激しくなり降り始めた雪が顔に当たって痛いです。雲間から少し青空がのぞいていることに励まされ先へ進みますが・・

残念ながら穂高はどんよりとした雲の中。すっかり姿を隠してしまいました。
足もとには梓川の流れも何とか見えますが、あれほど良かった天気もまた下り坂に向かっているようです。

12時半に稜線に到着しました。
楽しみにしていた穂高の山並みも安曇野の街並みもすっかり雲の中。
しかもどんよりとして天候の回復は見込みなし、とても激しい風、そして雪も降っています。
分岐の案内版は凍て付き、とても寒くまるで真冬のようでした。

楽しみにしていた稜線歩きは展望がない中での吹雪との戦いでした。
この辺りの稜線は穏やかな二重山稜が続くので天候が悪い時は道に迷わないか不安でしたが、吹雪といってもそこまで見通しが悪い訳ではなくルートははっきりと分かったことは助かりました。

こうなったら早めに小屋へと思い急ぎ足で歩いていると、今度は突然腹痛に見舞われることに・・。冷たい強風にすっかり体が冷え切ったようです。慌てて薬を飲みましたが小屋までまだもうしばらくかかります。どうしよう・・?と思いながらだましだまし歩き続けようやく蝶ヶ岳ヒュッテの小屋が見えた時は心からホッとしました。
13時過ぎ、蝶ヶ岳ヒュッテに到着です。
軒下に大きなつららが下がっていて驚きました。

とりあえず逃げ込むようにヒュッテの中へ、小屋の中はあたたかいストーブがありたくさんの人たちが団らん中でまるで夢のようでした。とりあえずテントの受付を済ませお昼ご飯。お昼ご飯を食べて気付くと腹痛がおさまっていました。良かった・・。
風が強く窓を叩きます。だんだん風が強くなってきます。この強風の中で果たしてテントを張れるかな?同じくテント組の人たちが、テントを張るか小屋に素泊まりするか迷っていました。

思い切って外に出ると、がんばってテントを張っている人が3張いました。皆さん大きな雪の壁をつくっているので何とかなりそうに思いました。ただ地吹雪になるほどの強風、スコップで雪をかき出すたびにその勢いでスコップが風で飛んでいくんじゃないかと不安に思うほどの強い風が吹きます。ひたすら深く掘り続け、掘った雪を壁にして、気温が低いためさらさら雪のためになかなか固まらず・・ようやくテントを設置できたのは夕方でした。でもその頃待ちに待った青空が広がってきました!

青空の中、山頂へ。
写真ではとても穏やかに見えるけれど相変わらずとても強い風が吹いているので、吹き飛ばされないように注意します。足もとは硬い雪面、小規模ですがシュカブラもできています。槍・穂高連峰はまだ雲の中でしたが、足もとには街並みが広がっているのが見えます。晴れてきて良かった、夕陽の時間がとても楽しみです。

蝶ヶ岳山頂に到着です!
常念岳がとても美しい姿、山頂から前常念岳にかけてのラインが綺麗です。
穂高の山々にかかっていた雲も、少しずつ流れてきたように感じます。そして凍て付いた山頂にできた氷に傾きかけた太陽の光が反射してとっても綺麗。
ところがここで悲劇が起こりました・・・!!(泣。

その綺麗に輝く氷の写真を撮ろうと歩いたその時、アイゼンを付けたままだと勘違いしてつるつるの氷に大胆に乗って歩いてしまったところ、滑って転んでしまいました!!尻もちをつく代わりに岩にカメラをぶつけ(カメラに付けたレンズをぶつけ)、レンズがっ・・割れてしまった・・・(大泣。

なぜカメラを守れなかったの?なぜカメラではなく自分の手でなかったの?
どれだけ考えても後悔先に立たず。でも別の方向で考えてみれば、もしここで捻挫や骨折をしていれば人に迷惑をかけることになっていたので良かったのだと思います。
しかも良く見てみると、保護フィルターが守ってくれたおかげでもしかするとレンズ自体は無事かもしれません。(帰宅後、カメラのキタムラに持って行くと、いつもお世話になっている店長さんが手際良く割れた保護フィルターを外してくださいました。レンズは何とか無事のようでした。傷は最小限で済み、部品の交換だけとなり助かりました。それでも自分のほんの不注意で数万円・・ショックです)

さてここからは広角レンズが使えないので、50mm短焦点で撮ります。
試しに美しい常念岳を撮ってみると、どうやらカメラは無事のようです。ホッとしました・・。
陽が陰りはじめたので、光が綺麗になってきました。去年の今ごろにあの頂きの上に立った時もずいぶん風が強かったことを思い出しました。

そして穂高のほうに目を向けると、青空と暗雲の狭間には、美しい彩雲ができていました。
相変わらず風が強いので、雲の流れが速いです。
これから陽が沈むにつれてどんな光景を見ることができるか楽しみです。

でもここで強風と寒さに耐え切れず、特に指先が寒さで痛くなって来たので一旦テントに戻ります。
テントの積み上げた雪ブロックの横で、あまり風の影響の出ない位置に三脚を設置し冬用のグローブに変えて撮影続行です。

雲が流れ、すっかり姿をあらわした焼岳。そして、前穂高岳も少しずつあらわれてきました。

槍ヶ岳や南岳に続く稜線はまだ雲の中ですが、大キレットも望めるようになってきました!
そして太陽が少しずつ傾き始め・・

太陽が厚い雲の中に沈んで行こうとする頃、北穂高岳の険しい姿があらわれました。
そして涸沢岳、奥穂高岳も・・。
陽が沈みながらあれほど山々を覆っていた雲が流れ、その流れの変化、色の変化があまりにも美しくてただただ魅せられました。

北穂高岳がすっかり姿をあらわすと、沈んでいく太陽と山頂の間に雲があらわれ、その雲によって光と繋がっているようでした。
厳しい雪山の中で、ほんの一瞬だけ見ることのできた山々の輝く姿・・。そして陽が沈みシルエットになりつつある大キレットへと続く険しい稜線の傾斜がとても美しいラインに感じました。

そして陽が沈んだ頃、ようやく槍ヶ岳が姿をあらわしました。
横尾尾根の横で大規模な雪崩が起きているのも確認できます。

夕陽の時間帯は風が少し弱くなりましたが、陽が沈んだ後はまたとても激しい強風になりました。
テントの周りにつくった雪の壁の存在を忘れてしまうほどの強い風。もし壁がなかったらテントはどれほどの強風に揺られるのでしょうか・・。

あまりの強風にテントが激しく揺れ続け、不安であまり眠ることもできず・・。
スコップやピッケル、アイゼンなどが吹き飛ばされないかも心配で真夜中に外に顔を出して確認してみたり。
でも結局10張りほどのテントが張られたので、周りに仲間がたくさんいることが心強い気持ちでした。

日の出が5時前なので、4時に目覚ましを掛けましたがシュラフから出るのにも一苦労。
でも晴れていて眺めは最高です。
テントの中に入れていても凍り掛けた登山靴と、そして今度はしっかりとアイゼンを履き山頂を目指しましたが、そしてまた、あまりの強風に立っていられないほどになりました。
ほんのすぐ近くの山頂がとても遠く感じます。
当然のように誰も登ってきません・・。
しゃがみ込んで風が収まるのを待ち、弱くなった瞬間にまた少し進み、でもたとえ山頂に着いてもこの強風の中で日の出を待つことができるのでしょうか?そして果たしてそんな中で写真は撮れるの?
昨日の二の舞になっても困るので一旦、引き返すことにしました。

小屋に戻ると風が弱まったので、小屋近くの展望台、瞑想の丘へ行ってみました。瞑想の丘にはたくさんの人がご来光を待っていました。山頂付近よりも風が弱いのでここで三脚を立てることに。
東方面に薄く雲が広がっていたので日の出の時間よりしばらく遅れて太陽があらわれました。
この季節、水を張られたばかりの水田が朝陽を浴びて輝きます。

そして後ろを振り向くと、穂高連峰が朝の光を受けてほんのりと赤く染まっていました。
梓川を挟んでまるで壁のように聳え立つ山々。まだ深い雪を冠った連峰は、険しくて厳かで近寄りがたい印象ですが、その反面光が射し込むと眩しくて美しい存在です・・。

ところが瞑想の丘でも長く過ごしていることはできませんでした。
陽が昇るにつれて風がますます強くなり、地吹雪が起こるようになりました。朝の光を受けて、地吹雪の雪が赤く舞い上がりました。太陽と一緒に撮りたかったのですが広角レンズを使うことができなかったので残念です。
風から逃れるようにテントの中へ。

風が強い中、テントをたたむ作業も大変。
何ひとつ飛ばされないように気を付けながら出発の準備が整ったのは10時でした。
道のりはまた長いので、もし間に合わなかったら横尾か徳沢でもう1泊しようと思っていたのでのんびりと準備できました。

ところが歩き出すと風はますます強まり、烈風に。
天候は下り坂のようですが、どうやら予報よりも早まったようです。
大きな荷物を持っていても?それとも大きな荷物を持っているせいなのか?荷物ごと体が風に持って行かれそうになります。何度もよろけながら歩きますが、時には歩けず風を受けないように姿勢を低くして様子を見ます。ピッケルで耐風姿勢を取るのは初めてでした。そして次第に耐風姿勢を取るのも苦しくなり、ザックをおろして更に低い姿勢になり風が弱まるのを待ちます。
でもこの辺りは二重山稜で稜線は広い丘なので、余程のことがない限り滑落の危険性がないことが救われました。
これまで体感したことのない半端なく激しい風、風速は20m?30m?どの程度の強さか分かりません・・。

先を行く団体さんがいたので励まされながらついて行きますが、少しずつ距離が離れ・・やっと追い付けたと思ったら、何やら相談を始めたようです。この風のためにひとまず小屋へ撤退を決めたみたい。常念方面なのか、下山される予定だったのかは分かりませんが、一緒に歩いていた人達がいなくなり不安な気持ちに。
横尾への分岐まで小屋から1時間弱だったので、あと30分ほど稜線を歩かなければなりません。
そして分岐まで2度ほどピークを越えなければ・・鞍部はまだ風が弱いですが、ピークは強いはず。
ピークを越える前にまた別の団体さんが今度は小屋に向かって行ったので、心強くなりました。
最後のピークを越える時はかなり恐怖だったけど、運良くその時は風が弱まり助かりました。
ようやく分岐に辿り着き、駆け足で稜線から下ると少しずつ風が弱まってきました。

助かった・・。

今回は真剣に、吹き飛ばされてしまったときのことを考えてしまいました。山の怖さをあらためて体感しました。
そして早くも登って来た人たちに出会いました。
ただあまりの風の強さに分岐でUターンするそうで、一緒に下りました。

横尾までの急な道。
下山も少し不安でしたがこの2日間でたくさんの人が歩いたようで、トレースがはっきりとしていて歩きやすい道になっていました。
登りと比べて半分以下のペースであっという間に駆け下ります。
積雪期は夏に比べて膝に負担がかからないので助かります。
最後に穂高を眺めた時は、もう空には雲が広がり、いつ降ってもおかしくないような天気になっていました。

思ったよりも早いペースで下ることができ、横尾にはお昼過ぎに着きそうです。
これなら上高地の最終バスに間に合うかも?
横尾まで頑張ったので、その代わり横尾山荘で贅沢にお食事。しばらく休憩していた時に、一瞬ピカッと閃光が。
どなたかのカメラのフラッシュかと思いましたが、雷でした。
雷が鳴ると同時に雨が降ってきました。
カメラはザックの中。そして雨具着用で上高地街道へ。
これから自分の足では3時間半はかかります。最後のひと踏ん張りです。

確か上高地発の最終バスは5時40分だったはず・・と思いながら5時半に上高地に着くように歩きました。
歩いていて気付いたことは、この3日間でかなりの雪が解けたこと。
初日に随分と助けられた雪のベンチが低くなり使えるところが減ってしまい、これには誤算でした。
それからスケートリンクのようにつるつるになっていた道の雪は解けていたのは良かったのですが、解けた雪が巨大な水たまりとなって道をふさぎ、それがまたとても歩き辛い道になっていました。

雨脚はどんどん強くなり、雷もひどく鳴り響きます。
稜線にいる人たちは大丈夫でしょうか?
ようやく上高地に辿り着きホッとしたときに沢渡行きのバスが視界に入りました。運転手さんに出発まであと何分か聞くと、あと5分とのこと。それでは最終は何時ですか?と聞いてみると、これが最終です!のお返事。どうやら最終は5時40分ではなく5時20分だったようです(泣。
5分で乗車券を購入し、濡れた雨具を片付け、休憩する間もなく大慌てで準備し無事に何とか最終バスに乗り込むことができました・・。間に合って良かった。最後の最後まで厳しい山旅になり鍛えられました。

◆蝶ヶ岳
2011/04/28~30・2泊3日・テン泊

4/28・木:晴れのち雪:上高地~横尾~2,255mピーク付近(テン泊)
4/29・金:雪のち晴れ:2,255mピーク付近~蝶ヶ岳(テン泊)
4/30・土:曇りのち雷雨:蝶ヶ岳~横尾~上高地

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