鷲羽岳・黒部源流・雲ノ平 |
2011/10/10 |
黒部源流域とその源頭の鷲羽岳。そして日本最後の秘境と呼ばれる雲ノ平。さらに双六岳や三俣蓮華岳も合わせて歩いてみたいという、とても壮大で欲張りな山旅が実現しました。
今年の夏はとても忙しく、そのためお盆の頃から秋には何とかお休みを頂けないかと前もって考えていました。
でも9月に入ってもなかなか時間を取ることができず、そろそろ山小屋も小屋閉めの季節になり、焦る日々・・。
そんな中、仕事の流れを見た上で1週間後の天候を予測しお休みをいただくことを決断し、スケジュールを調整させていただいた結果(仕事関係の皆さま、感謝です!ありがとうございました)、とてもハードスケジュールになり、そしてもしかしたら天候によっては初めての4泊という長旅が実現するのでは?と思うこと、そして3ヶ月ぶりという久しぶりのテン泊の山旅に3日も前から興奮して眠れない夜が続きました。
行く前から疲れ切って睡眠不足、体調を崩しかけているかも・・と少し不安になりながら早朝の新穂高登山者用の無料駐車場へ。この週末は前後を三連休に挟まれた普通の土日とはいっても、土曜の早い時間からお天気が回復することが見込まれたので無事に駐車場に車をとめることができるかどうか不安になりながらも、早朝5時の段階では一番登山口に近い最上段の場所を確保することができました。
今回の荷物はまだ10月にも関わらず、25キロ。このところ朝晩はかなり冷え込んでいるようで、そして以前同じ時期に双六のテン場で過ごした時はとても眠れたものじゃなかったほど寒い体験をしたことを思い出し、今回は冬用シュラフを、そして防寒着もフル装備、そして4泊分の準備をするとかなり重くなってしまいました。
朝の6時頃に新穂高を出発します。
雨が止まないので雨具を着ましたが、実は今年新調した雨具(モンベル・トレントフライヤー)を着るのは初めてだったので楽しみにしていました。強度よりも軽量化にこだわってこのモデルにしましたが、本当に軽くて快適!まるで雨具を着ていないみたいです。でもそれは、透湿性がとても優れている素材だからでもあると思います。
雨具は良かったのですが、出発直前に気付いた不安材料がひとつ。
ザックのウエストベルトの骨組みが一部折れていたこと。
自宅で荷物を詰めた後、車にザックを載せたときに初めて気付いて驚きました。
出発前から大ピンチ!とりあえずガムテープで応急処置をして出て来たんだけど・・大丈夫かな?
5日間、もってくれるでしょうか?
でもしばらく歩いてみたところ大丈夫そうなので、ホッとしながら歩きました。
林道ではザックを置いて腰掛けることのできるベンチがほとんどないので、ストックを支えに使いながらようやくわさび平小屋に着きました。コースタイム+1時間の時間がかかりました。これまでは初日は双六まで入っていたのですが、今回は自信がないので贅沢にも鏡平小屋で1泊の予定です。時間にゆとりがあるのでのんびり歩きます。
わさび平ではいつもこのように生野菜や夏はスイカを販売していてホッと和みます。この辺りまで来ると、少しですが色付きかけた樹が目に付くようになってきました。
わさび平小屋を出発してさらに林道をしばらく歩くとようやく登山道の入り口になります。
いつものひとりで佇む樹を眺めながら、空が明るくなってきたように感じました。
予報通り、天候が回復に向かっているのでしょうか?
この辺りまで来ると、色付きかけた樹々があちこちで見られるようになってきました。
夏から秋へ向かう姿。紅葉真っ盛りの色とりどりの風景も当然好きですが、このように季節の変わり目の風景に心惹かれます。
ガスがおりていることで、雨の日独特のしっとりとした雰囲気でした。
これから標高が高くなるにつれ、季節は秋へ、そして冬へ向かう風景を見られるのが楽しみです。
登山道を歩き始めると、さらに空が明るくなり、そして時折青空も覗くようになりました。
やはり回復に向かっているようです。
雨具を脱ぎ、身も心も軽くなってきた頃、秩父沢に着きました。
秩父沢で休憩をしていると、ガスが切れ、槍ヶ岳が顔を出しました!
これから槍穂を眺めながら歩ける幸せを感じながら眺めていたのですが、飛騨沢付近の色が茶色っぽく感じるのが実はこの時から気になっていました。
あの辺りはちょうど紅葉が進んでいる頃だと思うけど・・?
西穂付近の険しく美しい岩稜も、ガスの中から姿をあらわします。
秩父沢まで歩いて感じましたが、この週末はどうやらやはり山に入る人が少ないようです。
いつも休憩している人で賑わっている秩父沢でも、自分以外は数えるほどの人しかいません。登山道を歩いていても、たまに人に会う程度なのでのんびりと山歩きを楽しめそうです。
小池新道はとても良く整備が行き届き、歩きやすい道。
鏡平までそれなりに標高差がありますが、この道のおかげで疲れ具合がまったく異なります。
ザックを担ぎながら腰掛けることのできるベンチも数多くありとても助かります。
休憩中にとなりの岩の綺麗な苔に目が留まりました。
人が少ないので、出会う人それぞれ言葉を交わしながら歩きます。カメのような歩き方なので、皆さんに先に行ってもらいます。
このままいくと小屋泊まりものんびりできるかな?と思っていると、シシウドヶ原手前でとても大きな団体さんに出会いました。聞くところによると25名とのこと。シシウドヶ原の休憩ポイントは開けていますが、満員になるほどの混雑ぶりになりました。
鏡平が近づくにつれてまた稜線にガスがかかってきました。鏡平は3度目、今度こそは池に映る槍穂高を見てみたいのですが・・。
鏡平に近づくにつれて、色付いた樹々が目に留まるようになりました。雲間から時折差し込む光に輝くダケカンバたちがとても綺麗。
そう思いながら歩いていると、いかにも山慣れした雰囲気の男性が下りて来ました。
お話を伺うと、なんと黒部源流域の山々で9泊もして来られたとのこと!自分の予定の4泊が何だか可愛らしく感じました。
その方はちょうど9月半ばのグッと冷え込んだ時に双六でテントを張っていたらしく、スリーシーズンのシュラフだったため低体温症気味になったようです。それから数日前の嵐のような大雨の時は、ひと晩じゅう黒部五郎のテン場でテントを支えながら雨漏りしながら何とか耐えしのいだというお話。
そんな壮絶な体験を無事に乗り越えたからこそ見ることができた景色があり、楽しく充実した旅になったようでした。
「鏡平小屋では、夜遅くまでおしゃべりなんかしていたら駄目だよ。体力を回復させるためになるべく早く眠るんだよ」と有難いアドバイスをいただいてお別れしました。
今日は黒部五郎のテン場から出発して来られたとのこと。もう午後の3時近くですがこれだけパワフルな方なら下山中に暗くなっても大丈夫なんだろうな。
熊の躍り場まで来ると、鏡平まであと500mとかあと5分とか書かれているけれど、最後の急登がけっこうきつい。マイペースで歩かなければ息が切れます。
つい先ほどまではガスが下りて来ながらも太陽の光が雲間から覗いていたんだけど、鏡平に近づくにつれ空が暗くなってきました。
鏡平に着くと、泊り組みの人たちがお茶したり池のほとりでくつろいだりしていました。
でもやはり槍穂高はどこ?といった感じで雲に隠れていたので、まずは小屋の受付を済ませます。
絶望的な天気に見えたけれど、少し前には顔を出していたみたいなので気長に待つことにします。
自分はどうやら登って来る最中に目立った存在だったようで、皆さんに「よく頑張ったね~!」とあたたかい言葉をいただきました。鏡平組全員に顔を覚えられてしまったような感じ?です(笑)
小屋の受付では、大きな荷物なのでなるべく他の方に迷惑にならないように隅のほうなどにお願いできないか伺ったところ、結果的には同じ単独女性の方と一緒の2人だけの部屋になりとても助かりました(ありがとうございました)。
部屋に入り荷物を整理していると、外で歓声が聞こえました。
窓の外を眺めてみると槍ヶ岳が顔を出しています!
慌ててカメラを持って外へ飛び出し鏡池へ直行してみると・・?
槍穂高連峰がすっかり姿をあらわして大感激!
槍ヶ岳から西穂高岳まですべて目にすることができました。
こんなふうに池に映るのね・・ようやく見ることができました。
でもこれはほんの10分ほどの僅かなできごとでした。
荷物の整理が中途半端だったのでもう一度部屋に戻り、しっかりと準備をして鏡池に戻って来ると、槍穂高はもうすっかり雲の中でした。陽が沈むまでまたガスが晴れるのを気長に待とうと思っていると、もうひとり三脚を設置している男性がいました。
機材を見るとかなり本格的で、どうやら明日は同じく三俣まで行くらしいこと、そして今回はたまたま小屋泊まりだけど普段はテントも持って重い時は40キロもの荷物を持って歩いているとのこと。
結局陽が沈むまでガスが晴れませんでしたが、同じ目的で山に入っていることで色々と貴重なお話を伺うことができ、そして三俣までのルートの詳細も教えていただきとても助かりました(ありがとうございました)。
そしてその後も着かず離れずに、行動を共にすることになりました。
夜は同じ部屋の女性とお話していると、気付けば夜の8時。
「夜は早く眠るんだよ」とアドバイスいただいたことを思い出し、早めに就寝。
あたたかい毛布が2枚もあったのでまったく寒さを感じません。小屋泊まりってすごく久しぶりだけどこんなに快適なの?と思いながら珍しく5時間も眠ることができました。
夜中の2時半に目を覚まし、窓の外を見てみると・・?満天の星空でした!
まだ小屋全体が寝静まっているのでなるべく音を立てないように、カメラと三脚を持って外に出て写真を撮ってみました。
本当は鏡池まで行って撮りたかったのですが、夜中の3時にひとりではとても心細くて行けず・・小屋の玄関先で撮りました。
オリオン座が綺麗でした。流れ星も久しぶりに見ることができました。
部屋に戻りしばらく体を休めて日の出1時間前の4時半に起きて準備をし、再び鏡池に向かいました。
昨日の男性も来て既にスタンバイされていました。
稜線にはほとんど雲がかからず、綺麗なシルエットが池に映っていました。
少しずつ明るくなってきた頃、日の出20分ほど前に撮った1枚です。
今度はあまりにも雲がなく寂しいこと、そしてご来光を望める場所ではないことで、陽が昇り空が明るくなった頃に小屋に戻りました。
明け方はそこそこ冷え込んだようで、霜が降りていました。
小屋のスリッパを借りて出てきたので木道も霜で滑りやすくて少し危険。
朝食を取り準備して小屋の方にお礼を言って外に出ると、ちょうど25名の団体さんも出発するところでした。
今日は新穂高に下山するようです。
時間はちょうど7時に出発です。
とても気持ちのいいお天気!
今からあの稜線に向かって登ります。
弓折乗越までは急登が続きますが、お天気のいい朝の気持ちの良いお散歩は、自然と元気が出てきます。
そして登るごとに姿を変え、目前に素晴らしい姿をあらわす槍穂高。逆光に輝くナナカマドやダケカンバたちとともに展望が素晴らしく疲れを感じません。
ところがこの辺りからの紅葉をとても楽しみにしていたのですが、色付いている樹はありますが全体的に葉が枯れてしまっている樹が多く見られました。色付いた樹が枯れてしまっているものもありますが、どうやら大部分が色付く前に枯れてしまっているみたい・・?
山では気象の変化も激しく、そしてその尾根や沢によって樹々が受けるその変化も様々なので、これから歩きながら観察して行こうと思いました。
さらにもうひと登りすると、槍穂高全体と、つい先ほどまで過ごしていた鏡平が眼下に望めるようになってきました。太陽も登って来たので、槍ヶ岳から穂高へ続く主稜線の他、北鎌尾根や西鎌尾根、中崎尾根も眺められるようになりました。
ここで携帯がまだつながったので天気予報のチェックをしてみると今日の予報はどうやら曇りに変わったようで、夜には一時的に崩れるようです。
眺めが素晴らしいのでしばらく休憩です。
鏡平を俯瞰してみると、過ごしていた時にはあまり感じられませんでしたがけっこう紅葉が進んできていて綺麗に感じました。
それにしてもあらためてこのように眺めてみると、鏡平の地形が素晴らしいこと。このような展望の素晴らしい場所にまたこれほど美しい池が存在することが不思議でなりません。
しばらく休憩していると、空全体に雲がかかってきました。
流れる雲、そしてその雲が太陽を時折覆うことによる光と影の美しさに魅せられました。
いつまでも美しい光景を眺めていたい気持ちになりましたが、空の様子が予報通りに変化してきているように感じるので休憩もそこそこに歩きます。
しばらく歩くと、全体がまだ凍った小さな池を見つけました。
もう朝の8時になるのにまだこのように凍っていることを思うと、この辺りはかなり冷え込んだのでしょう。
ちょうど池に朝陽が当たり始めて綺麗でした。
8時50分。
写真を撮ったり休憩したりということもありますが、コースタイムの約2倍掛けて弓折乗越まで来ました。
双六岳方面と笠ヶ岳方面、そして今登って来た鏡平との分岐点です。
標高2,600m。ここから双六小屋まではなだらかな稜線歩きの道が続きます。
花見平のお花畑では、チングルマの穂たちの足もとには真っ赤に色付いた葉がありました。
小さな植物たち(とは言ってもチングルマは樹木です)は、風雨の影響をあまり受けないので紅葉にはまだ比較的影響を受けにくいのかもしれません。一面に広がる赤いじゅうたんが曇り空だからこそのしっとりとした色合いでとても綺麗でした。
双六小屋が近づくにつれだんだん怪しい雲が近づき、もう少しでガスの中に入ろうとしたところで4名の下山して来られたグループに出会いました。
「どこまで行くの?」と質問を受け、「三俣まで行きます」と答えたところ、「行けるかな?」のお返事が。
聞くところによると彼らは西鎌尾根から槍ヶ岳へ向かったようですが、あまりの激しい風雪のため命の危機を感じ引き返してきたようです・・。
どうやら三俣方面も行こうかどうしようか迷っている人たちが小屋で停滞しているようです。
「こことはまるで別世界よ、気をつけてね」とのお言葉をいただきお別れしました。
まさかそれほどまでに天候が悪化しているとは夢にも思わず、そして最悪今日は双六止まり?2日もかけて双六までしか行けない?その後の予定は・・?とまだ朝の10時前なのにすっかり意気消沈。まだ降り出しては来ないけれど念のためここで雨具を着ました。
ガスの中に入りもういつ降り出してもおかしくないような天気になった頃、足もとにまだ尖った霜柱を見つけました。
気温を見ると2、3℃といったところで太陽の姿も隠れたので寒くなってきました。
まだお昼前なのにもう既に夕方のような薄暗い雰囲気。ここから先はこれまで過ごしていた穏やかな世界とはまるで異なる世界、とりあえず双六小屋まで気合いを入れて先へ進みます。
双六小屋に近づくと雨が降り出しました。視界が悪くもちろん鷲羽岳も笠ヶ岳も全く姿が見えませんでした。
テントが3、4張りほど。小屋の中では話に聞いていた通り、10名ほど雨具を着て外の様子を伺っていました。
これから下山する方もいれば、先へ進もうか迷っている方もいるようです。
その中で鏡平小屋で一緒だったご夫婦に出会いました。
彼らは明日の朝は午前中に新穂高まで下りなければならず、鏡平で連泊とのことでした。
今日は三俣蓮華岳まで歩きたいと言われていたのですがやはりこの天気なので小屋でこの先どうしようか様子を見ているようです。
今日は双六泊りにするにしても、先へ進むにしても、どちらにしてもまだ午前11時。
急ぐことはないので、とりあえず楽しみにしていた双六小屋のおでんを注文しました。あまりにも美味しそうだったので食べかけてから気付き写真を撮りました。もし三俣まで行くなら天気が悪いのでやはり巻道ルート?と思い地図を見ながら食べていると、からだの中がぽかぽかと温まり心も落ち着いてきました。
おでんを食べていると、何となく空が明るくなってきたかも?と思っていると、鏡平で一緒だった同じくカメラと三脚を持った方(今後ペンタックスの方と呼ばせていただきます)が小屋に入って来て、ラーメンを注文していました。挨拶するとラーメンを持って隣に来られたのでまた写真の話をしながら、「巻き道から行きますよね?」ということになりました。
ひとりではないと分かったので心強いです。
しかもやはり外を眺めると、先程とは比べて空が少し明るくなってきたようです。
自分のほうが先に出発の準備が整ったので、ペンタックスの方に挨拶をして先に出発しました。
ここから先はまったく未知の世界。気合いを入れて先へ進みます。
双六岳に向かう道は、ハイマツの中の急坂を登る道。
登っていると、東の空が明るくなってきました!遠くに見えるのは表銀座方面でしょうか?
そしてつい先ほどまで過ごしていた双六小屋が眼下に望めるようになってきました!ガスの中からあらわれた樅沢岳も美しい姿で、一時は絶望的な気分だったので大感激です。
雲間から太陽の光がのぞいて山肌に当たる光がとても綺麗。
早くもペンタックスの方が登って来られるのが見えました。
そして鏡平泊のご夫婦も、双六岳に向かって登って来られるのが見えました。
表銀座方面がさらに明るくなってきました。燕岳あたりかな?もしかするとあれが蛙岩?と思いながら写真を撮っていると、ご夫婦が追いついて来られました。
「晴れて来て良かったですね!」と言葉を交わし合いながらしばらく一緒に歩き、そしてすぐにも山頂方面と巻き道方面との分岐に出て、これから今日は一日天気が持つことをお互いに祈りながらお別れしました。
彼らはようやく来られた念願の双六岳と言われていたので、小屋では沈んだ表情だったのが気になっていたのですが無事登ることができそうで元気になって本当に良かった。
山頂との分岐付近でペンタックスの方には先に行ってもらいました。
自分はカメのような遅さだし、お互い写真という目的があるので着かず離れずの距離間がちょうどいいはず。
双六岳はお花が綺麗で人気があるとのこと。
巻き道ルートをしばらく進むと点在した岩の間にチングルマの群生がありました。
でもこの辺りも全体的に草花も樹々も茶色く枯れてしまっているようです・・(泣。
でも岩と植物たちとで構成されている風景がまるで庭園のようで美しく感じました。
眺めの良い展望台のような開けているところに出ました。
ここでのんびりと風景を眺めていらしたペンタックスの方に追いついたので、「その頂きが三俣蓮華岳でしょうか?」と伺うと「三俣蓮華はまだその向こうでこれは丸山だよ。丸山は実は三俣蓮華よりも標高が高いんだよ」と教えていただきました。
ガスの中から鷲羽岳もようやく姿をあらわしてきました。
それからこのしばらく先に少しだけ迷いそうな場所があること、去年この巻き道ルートを歩いていて迷って湯俣方面に下りてしまい、でもなんと2週間後に生還した遭難者のお話を伺いました。
今日は天気があまり良くないけれど、先へと続く道が遠くに見えます。
でももしガスが出て先に続くルートが見えなかったら・・?自分ももしかしたら迷いそうかも?と思うような場所でした。とても勉強になり助かりました。
展望台から先は再びペンタックスの方が先に行かれました。
しばらく進むと突然急な下りに差し掛かりました。
前もって話を伺っていたから良かったのですが、これは確かに先へ続くルートが見えなかったら道を誤ったかも?と思うかもしれないと感じました。しかもマーキングが少なめです。
以前裏剱へ行った時に二度も道を間違えて、一度は沢を下ってしまい、一度は沢を登ってしまって少し怖い思いをしたことを思い出すような雰囲気の場所でした。
急坂を下りながら振り返って一枚。
いつも通り、写真ではあまりこの急な様子をあらわすことができません。
もし帰りも天気が悪くて稜線ルートを通れなかったら、ここを登ることになるんだなと思いながらどんどん下ります。
下っているとまた空が少しずつ明るくなり、そして鷲羽岳山頂が顔を出しました!
鷲羽岳が少しずつ近付いているように感じます。
そしてあれほど懸念していたお天気ですが、双六小屋を出発してから今のところまったく雨にあわず空に感謝です。
この辺りは稜線ルートと近いようです。青空が出て来ました。
稜線を歩いていても、この巻き道ルートを見下ろすことができるのでしょうか?
ここで鏡平で一緒だった単独男性に出会いました。これから双六小屋へ戻るそうです。
「あの天気の悪い中、午前10時頃に双六小屋を出発して稜線へ上がったところ猛吹雪。からだに雪が張り付いてからだ中にエビのしっぽができて大変だったよ~!」とのことでした・・。まさか同じ日の出来事だとは思えません。あらためて山は怖いと感じました。
登山道の真ん中に、ぽっかりと口を開けたように割れた巨岩がありました。
雷が原因でしょうか?それとも凍結によるもの??
よく分かりませんが自然が起こす力の偉大さを感じます。
天気が悪い時には良い目印になりそうです。
そして遠くに一部だけですが、紅葉が綺麗なところもありました。
さらに青空の範囲が広がり、赤茶けた荒々しい姿の硫黄尾根が望めるようになってきました。
そしてその向こうには・・?
常念岳?!と思いましたがどうやら大天井岳のようです。
あまりの凛々しい姿に驚きました。
そして険しい北鎌尾根の一部も顔を出しました。
双六小屋から歩き始めて4時間後の午後3時前、
稜線の延長線上にようやく三俣蓮華岳山頂が見えて来ました!
でも稜線が近くなってきたこともあって、ザックを下ろして休憩できる場所が少なくて・・この辺りまで来るとかなり疲労がたまってきました。
ようやくザックを下ろせそうな大きな岩が見つかったのですが、
傾斜がきつく今にもザックが滑り落ちてしまいそう~。
でも久しぶりにホッと一息。
三俣蓮華山頂へ行く道との分岐までが想像していたよりも遠く感じます。
ここで登山道脇にロープが張られていたのですが、その先へ行っても植生を傷めるようなことにはならない場所があったので、そのロープを跨いで写真を撮りに行こうとしたところ足が引っ掛かり転倒し、重いザックを担いだままだったのであともう少しで目の前の岩に顔面をぶつけてしまいそうになりました(汗。そしてその勢いで杭を倒してしまったようです・・(汗。かなり足に疲労がたまってきているみたいです。
歩いても歩いても分岐に辿り着かず、
この辺りのなだらかな道がとても長く感じました。
それからどこかこの辺りで若い男性に2人出会いましたが、時間的にも場所的にも三俣山荘泊まりだと思っていたのですがその後小屋で見掛けませんでした。時間は午後3時、巻き道ルートから双六まで戻ったのでしょうか?
稜線ルート、そして三俣山荘経由鷲羽岳へと向かう道との分岐にようやく出ました。(三俣峠と呼ばれるそうです。帰って写真を見て初めて知りました)
午後3時半なので、4時半にはテン場に着きそうです。
ここで迷ったのは・・三俣蓮華岳山頂までコースタイム20分とのこと。ザックを置いて行けばそれほど時間がかからなさそうだし、どうしようかな?迷いながらここまで来ましたが天気も悪いし時間もあまりありません。でも帰りは天気が良くなるとも限らないし・・。
山頂往復しているとテントを張る時は暗くなってしまいそうだし疲労もかなりたまってきているので、やっぱりあきらめることに。
帰りは天候が良くなっていることを祈ります。
三俣小屋まではどんどん下ります。
背の高いハイマツに囲まれた道なのでザックを引っ掛けないよう注意しながら歩きます。でも翌朝はこの道を登って三俣峠で朝陽を迎えたいのですが、暗闇の中をこのハイマツに囲まれた道を歩くのは心細そう・・。
鷲羽岳に夕方の光が射し込みとても美しい姿でした。
今は廃道になっていますが、小屋のご主人がつくられた伊藤新道もはっきりと見えます。
小屋の近くにテン場も見えます。
途中ですれ違った人から聞いた事前情報では三俣にはテントが一張りあったとのことですが、もう一張りあるようです。小屋からテン場は想像していたより少し離れているようなので、一人じゃなくて良かった。
午後4時半頃、ようやくテン場に着きました。
グッタリ疲れましたがそろそろ薄暗くなってきているので早々にテントを張ってしまいます。
水場の近く、そして小屋へと続く道の近くにテントを張っていたところ、同じく単独のテントの男性が声を掛けて来ました。
話を聞くところによるともともと双六でテントを張り、翌日は西鎌尾根経由で槍ヶ岳へ行く予定だったとのことですが、双六では激しい風雨に遭い結局は風の弱い三俣まで来たとのことでした。この時期のテント装備で一日で三俣まで来られた体力はもちろんのこと、西鎌経由槍ヶ岳へ、そして新穂高まで一日で歩くことのできる体力に驚きました。そして図々しくも翌朝、三俣峠までご来光を見に行くのにご一緒していただけないかとお誘いしたところ快いお返事をいただけて、暗闇の中のハイマツ道の一人歩きの不安から解消されてホッとしました(ありがとうございました)。
テントを張り小屋にお邪魔してみると、小屋の方から親切にも「休憩室にあるあたたかいストーブであたたまって行ったら?」と温かいお言葉をいただいてしまいました。思っていたよりもからだが冷えていたようです。
そこに小屋の食事が終わり小屋泊の人たちが下りて来て、鏡平から着かず離れずだったペンタックスの方に無事に着いたことを報告すると、「良かった!ホッとしました!夕方になってもテントの受付をされていないようだったから・・」とどうやらかなりご心配をおかけしていたようです(汗。心あたたかいお言葉いただき、そしてタイミング良く報告できて良かったと思いました。
その他の小屋泊の方々ともお話しながら外を見ると・・?
雪が舞っていて驚きました!
聞くところによるとマイナス10度まで冷え込む予報のようで夜は大変厳しい寒さになりそうです。
厳冬期対応の冬シュラフと防寒着をしっかりと持って来たので寒さは大丈夫でしたが、とうとうこの黒部源流の三俣まで来たことに興奮していたら1、2時間しか眠れないまま朝を迎えてしまいました。
日の出が5時半過ぎなので、4時に目覚ましを合わせましたがやはり外は雪が積もっているようです。
気合いを入れて起きテン泊の単独男性に声を掛け、まだ暗く雪が舞う中、写真を撮るには絶望的な気分になりながらも三俣峠へ向かって登りました。
登りながら空を見ていると、太陽が登って来る東の方角は時折雲が晴れ陽の光を感じることができました。
そこに一度だけ槍ヶ岳が姿をあらわし大感激!もつかの間、あっという間にまた暗い雲が広がり・・
ただ雲の流れを見ていると、予報通り天気は回復に向かっているような気がします。
雲の流れも激しくもしかしたら?という気持ちで、日の出30分後くらいまで三俣峠でしばらく過ごしてみることにしました。
ご一緒した男性は、自分ほど防寒着を持っていなかったので寒さが限界近くになり・・
「申し訳ないので先に帰ってくださいね」と話をしていたのですが、自分も太陽がなかなかあわられないことと寒さが厳しくなってきたこともあり、そして日の出後30分も過ぎそろそろあきらめようかな?と思い、機材をしまい下山することにしました。
下山しながらも諦めきれず太陽があらわれる辺りを眺めながら歩いていると・・
突然ガスが流れ太陽があらわれました!!
まだ雪の舞う中にも陽の光が強くなった瞬間、瞬く間に世界が一変しました。
あわてて再び三脚を立てて、待っていた甲斐があったと思いながら写真を撮りました。
寒い中だったので久しぶりに見た太陽のあたたかな光が眩しくて有難くて・・
そしてほんの一瞬だけですが、槍ヶ岳の穂先もあらわれました。
写真を撮っているとまたガスがかかり、暗い空になってしまいました。でもわずかな時間でも、とても美しい映像美を見ることができて本当に良かった。
テン場に戻ってきてしばらく休んでいると青空が顔を出してきました!
そしてテン泊の単独男性が出発するとのことでお見送りです。
せっかく三俣まで来られたのだから、もう一泊して鷲羽岳や黒部源流へ行かれては?と伺ってみましたがどうしても仕事の関係で今日中に戻らなければいけないとのこと。残念です・・。ただとても嬉しく感じたのは、ご来光の写真を撮っている自分の姿を見て「これから山には三脚とレンズを持って来たくなりました」とのお言葉。こちらこそ、お礼を言ってお別れしました。
少しずつ雲が切れ、青空があらわれてきたことによって、鷲羽岳山頂が望めるようになってきました。
テントの横の大きなナナカマドの樹に光が当たり綺麗でした。
天候が回復するのを待ちながら食事をして、今日はとうとう黒部源流に向けて出発です。
道が凍っているかもしれないので、念のため軽アイゼンを持って行きます。
天候が回復してきたと思ったら、テン泊装備の大きなザックを持った若い男性が来ました。
聞くところによると、今朝双六を出発して今日は烏帽子まで行かれるとのこと!またまた素晴らしい体力の持ち主の方に出会って驚きました。
素晴らしい体力といえば、三俣で張っていたもうひとつのテントの方は、何とツエルトでした・・。
ツエルトといってもフライ付きのしっかりとしたものですが、その方はけっこう年配の方で、しかも三俣に2泊目とのこと。もう1泊しようと思っていらしたようですが、燃料のガスが切れてしまったことでもう暖を取ることができず、この2泊目は一睡もできなかったとのこと。なので3泊はせず下山されるようです。
この時期にここまで来られる方は、やはり只者ではない方が多くて楽しいです。
出発は朝の9時。
準備をしているとかなり天気は回復し、気持ちの良い青空が広がってきました。
テン場からしばらくのところに分岐がありました。
雲ノ平方面だけでなく、こちらもぜひいつか行ってみたい黒部五郎岳への分岐にもなっています。
しばらく下ると、鷲羽岳の姿が変化してきました。
三脚やレンズの他に丸一日歩くことになると思うのでしっかりした防寒着と、軽アイゼン、ツエルト、いざという時の小物までしっかりと備えるとサブザックはパンパンに膨らんでしまいけっこう重くなってしまいました。
今回はいつものサブザックでは荷物が入り切らないことが分かっていたので、しっかりとしたサブザックを持って来ました。
もともとトレラン用につくられたテラノバの「Laser 35」。容量の割にとても軽量で三脚もすっぽりと入ること、ハイドレーションリザーバーポケットまであり使い勝手はかなり良さそうですが難点は背面にしっかりとしたパッドが入っているのでコンパクトに折りたためないこと。今回お山に初めて持ってきましたが、あの80L大型ザックでも中に入れるのに一苦労でした・・(汗。
ただ他の荷物をテン場に置いて来たことで、それでもかなり荷物が軽く感じ、寝不足でもからだが軽やか。お天気も回復してきたので、心も軽やかです。
鷲羽岳上空にも青空があらわれてきました。
早朝はマイナス10度まで冷え込み、昨日と比べるとあっという間に冬山の表情になりましたが、この降り積もった雪も日中あたたかくなればみるみる間に解けていくのでしょう。
太陽が高くなり、日陰だったところに少しずつ光が差し込みました。
枝や葉にうっすらと雪を残した樹々たちが一斉に輝き出しました。
紅葉した黄色のダケカンバと新雪の輝きは、この季節、この時間だけの大変貴重なものでした。
お天気も良くなり光も差し込んでくると気温がグングン上がり、着ている防寒着を脱ぐため休憩しました。
となりの岩の上にうっすらと雪が冠り、そしてそこに落ちた1枚の色付いた葉。辺りを見渡すと、はらはらと周りの樹々たちが葉を落としていることに気付きました。静かな静かな朝のお散歩。立ち止まってのんびり耳を澄ますと聞こえて来るのはその落ちて行く葉の音と、あたたかい陽射しを喜んでいる鳥のさえずりだけでした。
遠くに素敵な山容の頂きが望めるようになってきました。
同じく黒部源流域の山、黒部五郎岳です。
黒部五郎のカールにも光が差し込み始めていました。
ただ今回の旅はこの辺りの紅葉を最も楽しみにして来たのですが、残念ながらやはり枯れてしまっている樹が多いようです。
随分下って来たので、三俣蓮華岳が遠く高く感じるようになってきました。
人の気配はなくまったく誰にも出会わないということもありますが、肌で感じる空気感がさすが北アルプス最奥部まで来たという感覚でした。この感覚もまた裏剱へ行ったときに感じたものと似たものがありました。でもそれは同じく黒部界隈だからかもしれません。
美しい樹形のダケカンバを見つけました。
白い幹が色付いた風景に、そして青空に映えてとても綺麗でした。
黒部五郎岳とともにこの眺めが素晴らしくて、のんびりとこの風景を見て佇んでいたい気持ちを抑えて先へ進みます。
黒部川水源地標と書かれた立派な標石がありました。
そしてここで雲ノ平へ向かう道、岩苔乗越へ向かう道との分岐になります。岩苔乗越はワリモ岳と祖父岳の鞍部、黒部川の源頭にある乗越です。
今日はこの時間から鷲羽岳経由で戻ることは難しそうなので、帰りはその岩苔乗越から帰って来ようと思います。
さて雲ノ平へ向かいます。
ここから一旦源流へ下りて渡り、写真左の急登へ向かいますが、話に聞いていたとおりとても大変そうな壁に見えました・・。
(相変わらず写真では急登を表現できませんでした。汗)
気合いを入れて先へ進みます。
そしてしばらく進むと、とうとう黒部源流徒渉地点まで来ました!
季節は秋だということと、最近はそれほど雨は降っていないので水量は問題ないと思っていましたが、念のため事前に三俣山荘にて確認しておきました。
眺めてみるとしっかりロープは設置されているし岩の上を歩いていけば靴もまったく濡らさずに済みそうなので、ホッと一安心(写真を拡大すると良く分かります)。
慌てて足もとを見ると・・?
先ほど暑くて脱いだアウターをサブザック横のゴムひもに括っていたはずなのですが、そのアウターが水の中に漂っています!
ビックリ!なぜ?と思う間もなく今すぐにでも流れて行ってしまう寸前に、岩の上で自分まで落ちてしまわないように何とかバランスを取りながら拾い上げてドキドキしながら渡り終えました。
とりあえず濡れてしまったアウターを乾かしながら、なぜ落ちてしまったのか原因を探ってみると・・?
サブザックのゴムひもを通していた部分が一部切れてしまったようです。そのため緩んだゴムひもがアウターの重さに耐えきれず落ちてしまったみたい(汗。
アウターはけっこう重さがあるので許容量を超えたのだろうと思いましたが、偶然にも源流を渡っている真最中に落ちてしまうなんて。
それにしてもアウターのポケットにはヘッドランプが入っているので洒落になりません。
そしてもし救出できなければ、そのまま黒部峡谷を越えて日本海まで行ってしまうところでした!(途中の何かにひっかかってしまうと思いますが)というよりも大変大きなものを大自然の中に落として汚してしまうところでした。周りには誰もいないのでひとりあたふたしてしまいました・・(汗。
見上げると、雲ノ平の溶岩台地まであともうしばらくです。
ところでこの辺りの急登は、山と高原地図には「迷」の記号があるので注意深く気を付けながら登りました。
最初は一直線の急登なので迷うところはありませんでしたが、全体的にマーキングが薄くなっているところが多く、雲ノ平の台地が近づくにつれてもしお天気が悪ければ迷う可能性がありそうな部分がいくつかありました。
坂を登り切り、ようやく雲ノ平の溶岩台地に出ました。
振り返ると槍ヶ岳。
そして三俣乗越からつづく三俣蓮華岳の頂き。
三俣乗越は今自分が立っている溶岩台地と同じくらいの高さに位置するようです。黒部川源流は、その挟まれた台地の間を浸食しながら流れています。
雲ノ平のなだらかな台地に出たため視界が開けました。
以前、ここでそれなりの人数のパーティが遭難し、ひと晩ビバークしていたところ救助隊に発見されたそうです。
ここも確かにルートが分かり辛く、マーキングも薄く、そして少ない。ガスに覆われて山々を望めなかったらまったく方角が分からなくなりそうで、ここも注意ポイントです。
でも今日は、お天気が良くて最高です。
チングルマのいくつもの群生がありました。
五色ヶ原のチングルマが綺麗で印象に残っていますが、ここ雲ノ平のチングルマも綺麗でした。
マクロレンズを通して、降り積もった雪を冠った可愛らしい穂たちを眺めていると
あっという間に時間が経ってしまいました。
雲ノ平の中で一番標高が高い場所は、祖父岳(じいだけ)の山頂です。
横を回り込んでから山頂へ向かいます。
そしてようやくここで三俣を出発して以来、
初めて人に出会いました。
単独の年配の男性、三俣へ向かわれるそうです。
その後もう一人、単独の年配の今度は女性に出会いました。なかなか自分と同じく単独女性は珍しいのでお話を伺うと、今日は三俣まで、そして明日の朝に鷲羽岳へ登られるとのことでもしかしたら一緒になるかもしれませんね!と言ってお別れしました(旅の後半では大部分をこの女性と行動を共にすることになりました)。それにしても70歳近い年齢で女性お一人で折立から新穂高まで縦走されるなんて。
その行動力と体力に驚き、そして自分もその年齢になっても山を楽しめたらと思いました。
祖父岳経由、岩苔乗越への分岐に出ました。
雲ノ平山荘からとのルートとも交わっています。
ようやく雲ノ平中心部に来たようです。
ここで12時になったので、お昼の休憩です。
本当は雲ノ平山荘にお邪魔してみたかったのですが、ここからまだ更にコースタイムで1時間かかるので難しそうです。残念ですがまたこの次の機会にします。
この周辺の山々で雪を冠っていたのは、薬師岳だけでした。
さすが日本海側のお山。
雪を冠った姿がとても綺麗だったので、
のんびり望遠レンズを出して撮ってみました。
とても雄大で美しい薬師岳、いつか是非登ってみたいです。
祖父岳に登りながら、雲ノ平一帯を撮りパノラマにしてみました。
左から、北ノ俣岳、薬師岳、赤牛岳、水晶岳です。雲ノ平山荘も台地の上に立っているのが見えます。
クリックすると拡大表示されます。(※横スクロールが発生します。1439px×433px)
そしてもう少し上がると、黒部五郎岳も望めるようになりました。
カール地形が美しいです。
登れば登るほど視界が開けて望める山々が増えてくるのはどのお山も同じですが、雲ノ平の台地を取り囲むようにして聳え立つ3,000m級の山々のこの景観がとても新鮮に感じます。
この祖父岳の火山活動により黒部川源流がその周りを取り囲むようにして流れるようになったこと、そしてそのためにこの2,500mの高地に雲ノ平の台地が誕生したことに思いを巡らせながら登ります。
三俣蓮華岳と、その向こうに美しい山容の笠ヶ岳も望めるようになってきました。
祖父岳山頂からの素晴らしい眺めです。
左から、赤牛岳、水晶岳、ワリモ岳、鷲羽岳、残念ながら雲に隠れてしまった槍ヶ岳、樅沢岳、双六岳、三俣蓮華岳、笠ヶ岳。
クリックすると拡大表示されます。(※横スクロールが発生します。3071px×433px)
しばらくすると槍ヶ岳が顔を出しました。
まだ午後1時だし、この眺めを見ると帰り道は目前のワリモ岳と鷲羽岳を経由して三俣に戻りたい気持ちが強くなりました。コースタイムを見ると、岩苔乗越からのルートと比べて時間的にはあまり変わりません。でもやはり岩苔乗越からまた源流に下りて一周したい気持ちもありかなり迷いました。
でも足が遅いので、鷲羽岳山頂に着くのは少し遅い時間になってしまいそうです。
初めての鷲羽岳なので慌てて登るよりも、明日のお天気も良さそうなので朝にのんびり鷲羽岳に登ったほうがいいかも。今日はやはり予定通り岩苔乗越から下ることにしました。
山頂からしばらく下ると、水晶岳の全貌が望めました。
足もとには岩苔小谷の流れ。
そしてその先は高天ヶ原へと続きます。
地図を見るとその辺りは夢ノ平と呼ばれるそうで、雲ノ平よりもまたさらに一歩奥へ入り込んだようなところです。温泉もあるのでいつかぜひ行ってみたいです。
歩けば歩くほど広がる未知の世界に感激です。
今まさに北アルプス最奥部を歩いているという高揚感とともに感じるほんの少しの緊張感。
そして祖父岳分岐手前以来、初めて人に出会いました。
かなり山慣れしていそうな年配の男性と女性でした。
烏帽子岳を早朝に出発して水晶岳を経由して来られたと伺ったので、三俣でお話をした烏帽子岳へ向かった若い単独男性が気になっていたので伺ってみたところ、無事出会ったそうで良かったと思いました。
この時期は人が少ないので皆さんお互いに存在を覚えられるほどなので、何かの時にはいいのかも。
今日は雲ノ平に泊られるそうですが、考えてみるととても長い行程でコースタイムを見ると10時間です。
日が短くなり積雪の可能性もあるこの季節にコースタイム10時間を当たり前のように歩いている人たちが多くて、やはりこの時期は普通じゃないパワフルな人たちばかりです(笑。
岩苔乗越に到着したのは午後2時半でした。
想像していたよりも時間がかかってしまいました。
どちらにしてもとても鷲羽岳経由で戻る時間と体力は残っていません(汗。
途中で一ヶ所だけ、少しだけ緊張する場所がありました。
急激な下りで一部ハシゴが設置されていたのですが、足もとが凍っていたところがあり注意深く歩きました。
岩苔乗越からは黒部川源流の向こうに三俣蓮華岳を眺めながら下りて行きます。
源流域は夕方日が陰ってくると光が回らなくなるのが早いことと、もうこの時間になると歩いている人もきっといないと思うので、ある程度急ぎ足で進みます。
黒部川最初の一滴を見られる場所はあるのかな?と思っていましたが、気付けばもう登山道脇にはけっこうな水量のせせらぎになっていました。
先ほど過ごしていた稜線から随分と下りて来ました。
朝方感じていた黒部源流の雰囲気とはまったく異なり、
雪が解けたことで山の表情が穏やかで暖かくなりました。
でも早くも気温が下がり始め、そしてそろそろ疲労を感じてきました・・
三俣に戻って来たのは午後4時過ぎでした。
三俣では夕陽を眺められるところがないので鷲羽岳に向かって少し登ろうかな?と考えていたのですが、体力が残ってなくて・・
山荘前で太陽が沈む方角を眺めてみると、三俣蓮華岳に陽が落ちていくところでした。
シルエットになった稜線の向こうに美しい雲があらわれました。
テン場に戻る時はもしかして今晩は一人かな?と思っていましたが、戻ってみると驚くことに自分のテントの1.5mほどの至近距離に新たにテントが立てられていました。
この広いテン場になぜこれほど至近距離??水場と小屋への道が近いところだからかもしれませんが・・
お互いソロ同士なので言葉を交わしましたが、その晩は至近距離だからこそ起こるトラブルに遭ったため結局一睡もできない夜になりました・・。
そのため翌朝は高く陽が昇るまでテントの中で過ごすことに。
出発が遅れ、鷲羽岳に向かって登り始めたのはもう7時頃でした。
しばらく登ったところで振り返ると、青空の中の三俣蓮華岳。
三俣峠へ向かう時に登ったハイマツに囲まれた道ですが、離れて眺めるとこの辺りは特徴ある広がり方で山頂を取り囲むとても綺麗な模様となっていました。
そしてさらにもう一段登ると、その綺麗なハイマツ模様の全体像を眺めることができるようになりました。
三俣蓮華岳の隣りに丸山と双六岳。
鷲羽岳を下りた後に歩く稜線の全貌です。
三俣山荘から鷲羽岳を見上げるととても急登に見えましたが、最初はこのようなザレた滑りやすい道でした。
そしてそのザレた道から岩場に変わってくる頃、地元白山や笠ヶ岳、乗鞍岳などが少しずつ顔を出して来るようになりました。
山頂までの道は、前半はザラ峠のような雰囲気、後半は立山雄山への道をもう少し険しくしたような雰囲気でした。
お隣には槍ヶ岳の美しい尖峰。
大変険しい北鎌尾根と硫黄尾根、鷲羽岳に登りながらこの辺りからは平行した状態で眺められることに気付きました。
それにしても誰も登って来ませんし、誰も下りて来ません。
時間も中途半端なので、このまま貸切でしょうか?
そして美しいカール地形を持つ黒部五郎岳。
そのお隣は白山です。
そして足もとには黒部源流が流れ、昨日歩いた源流へと下りる道、そして雲ノ平へと登る道をはっきりと確認することができました。
黒部川が浸食しながら流れている様子も良く分かりました。
登り始めて1時間が経ち、山頂が近付いて来ました。
ご来光を眺めるのにもしかしたら頑張れば、この鷲羽岳の山頂まで来られるかも?と思っていましたが、想像以上に遠く険しくとても無理な話でした。やはりせめて一度は明るい時間帯に登ってからにすべきです。
そして槍ヶ岳のほうを眺めると・・?
鷲羽池が望めました!!
朝の光を受けて真っ青な色。
鷲羽岳に登ったら、ぜひ眺めたい池でした。
そしてもし時間的にゆとりがあれば、近くまで下りて行ってみたくなりそうです。
ここで、単独の女性に出会いました。
昨日雲ノ平で出会ったもう70歳近くの薬師岳から縦走されている女性です!
お話を伺うと、彼女は鷲羽岳はもう5回目の登頂なのですが、今回ようやく朝の光を受けた真っ青な池を見ることができたそうです。これまではお天気が悪かったりガスがかかったりで、どうしてもこの青い色を見ることができなかったとのこと。ようやくこの5回目にして見ることができたこと。それから彼女のお話によれば、運が良ければ光が当たることで水面がキラキラと輝くところが見られるとのこと。
ご高齢なのに鷲羽岳のこの奥地まで蒼い池を見るために何度も足を運び、ようやく今回この綺麗な池を見ることができてとても喜んでいらっしゃいました。お話を伺って心から彼女が今回見ることができて本当に良かった・・と思う気持ち、そして自分の幸運をあらためて感じました。彼女のお話を聞く機会がなければ、鷲羽池を見てもきっとここまで感動しなかったことと思います。
そしてもし朝ゆっくりと出発しなければ彼女と会わなかっただろうし、ご来光の2、3時間後でなければ水面に光が当たりません。水面に光が当たる時間帯は小屋の方にも事前に伺っていましたが、はっきりとした時間は分からずここまできましたが、彼女はこの時間を狙って登って来られたそうです。
山頂までご一緒しませんか?とお誘いしてみましたが、山頂は何回も登っているのでここでUターンされるそうで、でも今日の目的地は双六で一緒なので後ほどテントに声を掛けてくださるとのことでした。
山頂までのあとしばらくの道は突然急になり、たまに両手を使わなければならないほど。でも早く山頂からの眺めを見てみたくて急いで登るとあっという間に頂上へ。三俣からちょうど1時間半、鷲羽岳の山頂に到着です。
鷲羽岳山頂からの素晴らしい眺めです。
※拡大表示すると横スクロールが発生します。(3037px×433px)
山頂に到着してまず真っ先に目に飛び込んで来たのは、鹿島槍ヶ岳から白馬岳にかけての真っ白に雪を冠った山々でした。
今朝も三俣でも-10℃との予報が出ていたので北アルプス北部は冠雪したようです。
かなりの積雪量がありそうです。
その代わり、昨日はあれほど真っ白だった薬師岳の雪が消えていました。
あっという間に消えてしまった雪ですが、昨日祖父岳を過ぎたところで出会ったお二人のうちの一人が軽アイゼンしか持っていないとのことでしたので、今ごろ薬師岳へ登られていることを考えると良かったと思います。
別名黒岳と呼ばれる水晶岳。
もしもう1泊する時間のゆとりがあれば、ぜひお隣のワリモ岳からこの水晶岳に向かって伸びる稜線を歩いてみたいと思いました。
その稜線の奥に見える立山と剱もうっすらと雪が冠っているようです。
そして黒部五郎岳と雲海の向こうには白山。
さすが北アルプスの中心部鷲羽岳、3,000m級の山々を何座眺めることができるのでしょう?たったひとりで過ごす360度の展望台はとても貴重で贅沢なひとときでした。
ところで山頂ではドコモの電波はしっかりと届き、久しぶりに天気予報を見ることができました。今日は夕方までお天気持ちますが、さすがに明日からは崩れるようです。
ここであらためて鷲羽池を見下ろしてみると・・?
水面がキラキラ輝いていました!!
おばさまから伺っていたとおりの現象が起こっているようです。
あの辺りは風が吹いているのでしょうか?
あまりの美しさに大感激。
そして池まで下りて行きたい衝動に駆られました。
おそらくほんの30分ほどで下りられるはずですが、登ることも考えると1時間半は必要になりそう。
時計を見るともう9時をまわっています。
今日はどうしても双六のテン場まで戻らなければならないため、時間的に難しそうです・・(泣。
でもこの美しい水面を見ることができただけでも貴重な体験ができたので、今回は潔くあきらめることにします。
さて下山です。
ルートが全体的に滑りやすい道なので、気をつけて下ります。
下っている途中でようやく人に出会いました。これから鷲羽岳山頂へ向かい、今日は雲ノ平でお泊まりだそうです。
それからあともうしばらくというところで先ほどのおばさまに追い付いたので一緒に下ります。
テン場に戻って来たのはもう10時半近くでした。
あまりのんびりしていられないのでお昼ご飯を食べながら出発の準備をします。
11時半出発を目指します。
テン場に流れていた沢の水がまだ凍っていました。今朝はよほど冷え込んだようです。
テントを撤収していると、おばさまが声を掛けてくださいました。
そして「わたし遅いので先に行っているね」とのことでしたが、「わたしも大変遅いので、もしお会いしなかった場合は双六で」と言ってお別れしました。
テン場からしばらく歩いて振り返ると、つい先ほどまで過ごしていた鷲羽岳が堂々とした姿で聳え立っていました。三俣山荘ではふとん干しをしていました。
久しぶりに担ぐザックが重く苦しいけれど、時間が遅くなってしまったので急ぎます。
そのため三俣峠手前で早くもおばさまに追いついてしまいました。
「わたしのほうが遅いです」「いえわたしのほうが」と言いながら一緒に歩いてみると、歩くスピードがちょうど同じくらいなことに気付きました。
これから向かう双六へのルートはもうほぼ誰も歩いていないと思うことと、おばさまの足取りを見ていると長旅の疲れからなのか少し心配になったこと、自分も疲れて来ているところに初めて歩く稜線ルートなので、このルートを熟知しているおばさまと歩くことは安心なこともあり、相談した結果、一緒に歩くことにしました。
三俣蓮華岳は山頂部分だけが少し険しい岩歩き。
本日の登りはもうここでほぼ最後なので、頑張ります。
山頂に着いたのは、午後1時過ぎでした。
こちらもまた大変素晴らしい眺めでした。
※拡大表示すると横スクロールが発生します。(3755px×433px)
そしてこれから歩く稜線ルートです。
気持ちの良いお散歩道がとても楽しみです。
笠ヶ岳が大変美しい姿です。
頑張ればここから1日で歩くことができる距離だということがとても信じられないほど遠くに感じます。
三俣蓮華岳から少し下り、次のピークの丸山を少し登ったところで振り返ります。この2日間、常に間近で眺めていた鷲羽岳が少しずつ遠ざかっていきます。
ここで午後の2時。
少し焦りながらも展望を楽しみながら進みます。
おばさまが「膝が少し痛くなってきたので、歩くのがさらに遅くなるから先に行ってね」とのことですが、やはり先に行くのは少し心配なので一緒に行くことにします。
ようやく双六岳が間近に感じられるようになってきました。
おばさまを待ちながら、久しぶりに落ち着いて写真を撮ります。
※拡大表示すると横スクロールが発生します。(2642px×433px)
太陽が眩しい!!
時間はもう3時ですが、稜線なのでまだ陽が高く感じます。
良いお天気が続いていること、そして太陽がこれほどの高さだと、夕方までもうしばらく時間があるように感じて少し安心です。
明日は本当にお天気崩れるのでしょうか?
急いで歩いて来たので、中道ルートとの分岐を見落としたかな?
と思った頃にちょうど分岐に出ました。
お天気が崩れたらエスケープルートとして使いますが、今日は当然迷うことなくこのまま稜線ルートを歩きます。
ようやく双六岳が近付いて来ました。
この頃から時間的に心にゆとりができ、おばさまとお話しながら歩きました。
東京から来られたということ、初日の折立から太郎平へ向かって歩いた日は例のお天気が大きく崩れた日で、冷たい土砂降りの中を誰にも会わずに不安になったとのこと、これほどの大きな縦走は、人生で最後になりそうなこと。そのおそらく最後の旅が素晴らしいものになりそうなこと。
双六岳山頂に着いたのは、午後4時でした。
双六小屋にお泊まりの3人の方が夕陽を待っていました。
風もなく快適な山頂。でも少しずつ冷えて来ました。
歩きながら考えていたのですが、山頂に着くのはそろそろちょうど陽が落ちて来る頃かな?と。
でも日の入りまでまだあと1時間半もあります。
とりあえずあとは小屋に向かって下るだけなので、体力の残っている限りここで待機することにしました。
おばさまと「お疲れさま!」と握手を交わし、もし翌日新穂高へ向かって下りる途中で出会ったらその時にまた、と言ってお別れしました。
有名な双六台地からの槍・穂高連峰の眺めです。
今まで写真で何度も見てきましたが、実際に見てみるとあまりにもこの雄大な眺めがとても感慨深い気持ちになりました。
ただ双六岳に辿り着きホッとした気持ちなると、これまでの疲労が一気に来て、そして冷たい風も出て来てさらに体力が奪われそうになり・・とても山頂で過ごしていられず台地に向かって歩くことにしました。
台地に下り立つと、一本のまっすぐな道が槍・穂高に向かって一直線に伸びていました。このなだらかな山頂に対して険しい槍・穂高の山々の対照的な姿がやはり大変印象的でした。
台地上の色付いた植物に夕方の光が当たり、輝いていてとても綺麗でした。
夕陽のことを考えると名残惜しい気持ちでいっぱいでしたが、台地から下りながらテントを張る時間のことを考えるとあまりゆっくりしていられないことに気付き、早々に下ることにして良かったと思いました。
でもここでなんと山岳写真家の西田省三さん(http://www.shozonishida.com/)と出会いました。双六岳に向かって登って来られるお二人を見て、もしかしたら?と思いながら、でもお持ちの三脚などの機材からきっとそうだと確信した上で、声を掛けさせていただきました。
山岳写真家の中でも個人的にとても好きなお写真を撮られる方です。今年の山と渓谷の表紙を担当されています。そして自分と同年代の方だということも印象に残っていました。この双六から雲ノ平にかけても良く撮られています。今回は雑誌の岳人の取材で入られたそうで、夕方の撮影前のとても貴重なお時間の中で申し訳なく感じながらも大変有難いお話をうかがうことができました。ありがとうございました。
下山しながらこれほど好条件になるだろう日に稜線で夕陽を撮らないなんて、本当にこれで良かったの?と自問自答を繰り返しながら歩きます。
ただこの4日間の疲れがたまり、明日はおそらく天候が崩れる中を歩く体力を残して置かなければならないことを思うとやはりこれで良かったのだと思うことにします。
双六台地からの下山は足もとを少々気を付けなければならないところもあり、やはりこのルートも初めてなので、鷲羽岳と同様に明るい時間帯に一度歩いてみてからにして良かったと感じました。
中道との分岐まで下りてきた頃、槍穂高が赤く染まり雲が掛かり出しました。
そして槍ヶ岳には薄くベールのような美しい雲がかかりました。
綺麗・・・。
中道との分岐点が槍穂を眺められる最後の場所のようでした。
この姿を見ることができただけで、じゅうぶんだと思う気持ちになりました。
双六の小屋に着いたのは、もう6時頃。
小屋のスタッフの方に出発する時にアドバイスをいただいたこともあって、無事に三俣や黒部源流まで行って来ることができた報告と紅葉の状況をお話したところ、やはりこの辺り一帯の紅葉は今年は残念な結果になっていると皆さん同じことを思われているようでした。
原因は葉が色付く前に気温が低下してしまい枯れてしまったこと、それから風や雨など気象条件もあるようです。
テントを広げていると夕闇が迫り、あっという間に真っ暗に。
完全に暗くなる前に何とかテントを設置できました。
テント組は我が家を入れて5張でした。
それから双六のテン場は三俣と比べてやはり事前に小屋の方に伺っていたとおり風は強く、気温が下がるようです。
あまり眠ることはできませんでしたが、この4日間を振り返ると充実感でいっぱい。
お天気は下り坂ですが、あとは危険な場所もなく新穂高に向かって下りるだけです。
翌日は下山する時間を考えると、お天気が良くてもご来光はあきらめていました。
新穂高へ向かう林道は昼間でも特にお天気が悪いと薄暗くて心細く、そして疲れがたまっているので時間にゆとりを持つためになるべく早い時間帯に出発します。
朝6時半に出発の準備が整いました。
空は今にも雨が降り出しそうです。
双六を出発してしばらくのところで、とうとう雨が降り出しました。でも雨が降る前に、テントを撤収できて助かりました。
そしてここで鷲羽岳から一緒に歩いてきたおばさまと再会しました!
おばさまから「小屋で同室の子たちにあなたのことを話していたんだけど、また帰りも一緒に歩けたら~と言っていたところだったのよ」と有難いお言葉を頂いたので、新穂高まで一緒に下山することにしました。
お山で単独で歩いているという意味でも大先輩ということ、そしてあちこち歩かれているようで山での色々なお話、そして女性ならではのお山でのお話など、大変楽しくて勉強になるお話を色々と伺うことができました(ありがとうございました)。そのお話の中でも特に以前から気になっていたブルーベリーに似た実を付けた樹が「黒臼子(くろうすご)」という樹だということを教えていただき、ちょうど鏡平へと下りる登山道の道中にまだ実を付けた樹が残っていたので、食べてみるととても美味しかったことが印象的でした。
ただのんびりと歩き過ぎて、鏡平小屋で昼食をとりながらおばさまの東京へ帰るバス時間を確認すると時間的にかなり厳しいことが判明!コースタイム通りに歩いてもギリギリの時間です。わたしたちの足の遅さでは、ほぼ無理に等しいのですが・・。
でもおばさまは今日中に必ず帰らなければならないことを伺うと決してあきらめたくないと思い、雨で道が濡れて歩き辛い中、おばさまを引っ張るようにして目一杯急いで歩き、最後は転びながらも走るようにして何とか新穂高に到着。車で平湯までお送りしてようやくホッと一安心です。これまでお山で助けられたことは多々ありましたが自分がここまで助けることができたのはこれが初めてで、おばさまも喜んでくださり良かったです。おかげで最後まで大変達成感を感じられる山旅になりました。
下山して数日後に、三俣山荘で注文してきた「黒部の山賊」が届きました。
以前から三俣方面へ行った時は必ず読みたいと思っていた本で、本当は小屋でいただくつもりでしたが在庫がないとのことでしたので郵送して頂きました。
三俣山荘のご主人、伊藤正一さんが著者で、三俣山荘を建てられたときのお話や、当時黒部界隈で生活し山賊と呼ばれていた漁師さんたちとのお話などなど当時の大変貴重なお話が綴られています。とても楽しく拝見させていただきました。しかもご主人が撮られたお写真のポストカード付き。大感激でした。ありがとうございました。
10/01・土:雨のち曇り時々晴れ:新穂高~わさび平~鏡平小屋(小屋泊)
10/02・日:晴れのち曇り:鏡平小屋~弓折乗越~双六小屋~巻道~三俣山荘(テン泊)
10/03・月:晴れ:三俣~黒部源流~雲ノ平~祖父岳~岩苔乗越~黒部源流~三俣(テン泊)
10/04・火:晴れ:三俣~鷲羽岳~三俣~三俣蓮華岳~双六岳~双六小屋(テン泊)
10/05・水:雨:双六小屋~弓折乗越~鏡平~わさび平~新穂高